フィリピン原産のマチン科の大木であるイグナティアの種子を粉にして作ったレメディです。
この種子には、神経に作用する猛毒のストリキニーネが含まれていて、
その量は同じマチン科のレメディNux-v.（ナックス・ボミカ）よりも多く、
乾燥重量の2.5～3％を占めます。
尚且つ、Ign.（イグナシア）はNux-v.（ナックス・ボミカ）とほぼ同じようなアルカロイドを含有します。
17世紀、スペインの修道士、聖イグナチウスによってその種子がヨーロッパに伝えられました。
『かなしみのレメディ』として有名なレメディで、感情の救急薬として、
急な悲しみや失望、失恋、ヒステリー、情緒不安定などの症状が出ている人に適応します。
・・・・とは言いながら、現実には悲嘆真っ最中の方がホメオパスの元を訪れるようなことは滅多にありません。
実際にホメオパシーはマインドに深く作用するので、こういう情緒障害の分野は得意中の得意といっても過言ではないので、
セルフケアとして常備しておれば、もしくはホームドクターのような「お抱えホメオパス」を持つことができれば、
このようなレメディはその効果をいかんなく発揮できるでしょう。
私はこのレメディのプルービングしてみたことがありました。
ホメオパシーのプルービングとは、健康な状態にある人があるレメディをとった時に、治癒ではなくレメディ本来の病の症状が現れることです。
「レメディがマッチしていない時には何も反応は起こりません」と便宜的に言ってしまうこともありますが（おっと！）、レメディを摂った人がそのレメディに何かしら感受性がある場合には治癒ではない反応が起きることがあります。ホメオパスはクライアントのそのような感受性を考慮に入れながらもレメディを選択していきます。
さて、私の場合のIgn.（イグナシア）のプルービングは、まず夢に現れました。
（レメディの反応は夢によく現れます）
・・・そこは社内の風景で大勢の人が働いていました。
私は最終の書類のチェックをし何かの工程の指示をしなければならなかったのに、
仕事は物凄く遅れていて上司は私を無能呼ばわりしました。
私は猛烈に怒って
「私のせいで仕事が遅れているのではありません！
そことそこの部署の仕事が遅いので、こっちにしわ寄せが来ているんです！！」
と上司にくってかかっているという夢でした。
とにかく私は物凄く怒りまくっていて、
「私を “無能” 呼ばわりするなんて！！」
って、腹が立って腹が立って仕方ない・・ということろで目が覚めました。
この夢の中の私の言動には物凄く共感したのは、私のこういう面がIgn.と被ったということなのでしょう。
レメディがある程度マッチすると、レメディのクオリティとその人の持つオリジナリティが混ざったような夢を見ることが多くあります。
プルービングはそれだけでおさまらず、実はその後3日間程、泣きと笑いが交互にきて大変な目に会いました。
ふとした拍子に涙が出たかと思うと、すぐに笑いが込み上げてきて、そしてすぐ又泣き出す・・・という様子に、夫は唖然としていました。
胃の様子もおかしくなりました。胃に底抜けの暗闇を感じたのです。ムカムカとした気持ち悪さもありました。
この感じはNux-v.（ナックス・ボミカ）の症状に近いものがあります。
Ign.は同じマチン科であるNux-v.と非常に関連が深いレメディでもあるからでしょうね。
しかしながら、Ign.は失恋のレメディとしても有名であるのに、
何故か恋愛方面のプルービングが起きなかったのは、私にその感受性がないってことともいえるでしょう(笑)
実はあるホメオパシーセミナーの壇上で
「皆さんは、何のためにホメオパシーを勉強しているんですか？人を救うためじゃないんですか？」
と声を荒げていた女性がいました。
（「う～ん、私は面白いから勉強しているんだけど・・・」）とは思いながらも、
そうそう、これがIgn.のクオリティといえるな、と見ていました。
理想主義、ロマンティックな激情。感情の「深さ」「強さ」「熱さ」が特徴です。
『ヒューマニスト 堕ちた弁護士』というアメリカの弁護士ドラマに登場するルルと言う女性は非常にIgn.チックな女性です。
（面白いことに主人公はかなりNat-m.的なの男性なのです）
非常に有能ながら大手弁護士事務所を蹴り福祉事務所で働き始め、法廷での弁護でも理想論をまくしたて暴走気味になったり、妊娠し恋人から送られた指輪を前に「たかが妊娠したくらいで結婚なんかして欲しくない」と言ったり、夜中に冷蔵庫の中身をバクバクあさったり・・・。そして服装は白いブラウスに黒いスカートがメイン。
ドラマとしても非常に面白いので興味がある方は是非ご覧になって下さい。
