今日は本の登場人物で読み解く『アイデンティティの混乱』について。
一番のそれっぽい有名どころは『ドグラ・マグラ』(夢野久作)だ思うのですが、
私、この本、ちゃんと読んでなくって・・・(爆)
確か昔本棚にあったんだけど、鬱陶しそうな内容だったんで読まないまま結局処分したような。。。
でも内容は何となく知っていて、
「私」である若き主人公は「私は誰?ここはどこ?」な精神病患者で、
「俺は“呉一郎”って人なの?殺人犯なの?」とわけわかんないでいるチト気の毒な青年なんだけど、
読み進めていくうちに「えっ、ひょっとして俺が(私が)呉一郎?」と今度は読み手側がオカシクなってくる、
ってだいたいこんなような話。
(すげーテキトー(笑))
・・・・えーっと、読んでない本の内容を論じるのはそれこそ論外なので、これは保留にしておきましょう。
さて次。
むかーし、私がまだピチピチだった頃、この作家さんの描く綺麗な人物が好きでよく読んでいました。
(今でも好きだけど、流石に漫画を読む年代ではなくなったのでご無沙汰しています)
この著者による漫画作品の中で、ヒューマノイドのジャックとエレナを主人公としたSF作品が『ジャック&エレナシリーズ』と呼ばれていて、いわゆるロボットならではの葛藤が垣間見えて非常に興味深いのです。
この『竜の眠る星』のエピソードではないんだけど、
他の作中で(この『竜の眠る星』しか持っていなくて、なので写真はありません)、
ロボットのジャックは自分がロボットであることを知らない、という設定で登場します
(感情を持つ高性能のヒューマノイドなのでこういう設定も“全然あり”なのです)。
ちゃんと「人間としての記憶」を「人間」の手により植え付けられていて、
自分を人間だと信じ込んでいるのですが、あるとき腕を負傷し、その時にちぎれた腕の中に配線コードを発見します。
「なんだこれは?・・・俺は一体・・・」
とジャックはうろたえ、自分の人間としての記憶もあやふやだったことに気づきます。
これぞまさしく “Who am I?”
『ドグラ・マグラ』とは違って、
確信していた真実がぐらりと揺らぐニュアンスが、まさしく“identityの混乱”といえるでしょう。
レパートリーでは『Confusion – identity(identityの混乱)』の項目の中に『duality, sense of:(二重性の感覚)』というルブリクスもあるのですが、
作者の清水玲子さんはロボットを主人公にすることによって、
この明確なdualityの間を揺れ動くidentityを非常にうまく描いているんです。
もうひとりのジャックの相方のエレナは中世的な顔立ちの非常に美しいヒューマノイドで、
元々セクサロイドであり後にセクスレスに変更されているんだけど、
そういう性のdualityもね、下手な現代のドラマを観るよりも納得しやすい。
清水玲子さんの作品をそういうidentityの観点から研究する人が現れたら面白いのに。。。
はい、次。
今朝、本棚の奥を「確かこのあたりに清水玲子の漫画があったはず・・・」とゴソゴソしていたら、
隣り合ったこの本も一緒に出てきて、
「あー、なるほどねー、これもそーだよねー」
とちょっと驚いちゃったんだけど、この作品にもアイデンティティが混乱している人物が登場する。
記憶障害により自分の半生を別の女性の半生にすり替えたある女性が、
追い詰められ精神衰弱状態に陥り4人もの男性を切り殺していくんですが、
(この話がメインではなくて…あれっ?メインなのかな?、京極夏彦の物語は重厚且つ複雑なので説明が難しい)
興味深いのはこの女性が(視覚)失認症というのだろうか、
「人間の顔の識別ができない」
という症状を抱えているということ。
ここ、注目です。
identityの混乱という症状がある筆頭レメディは Alum.(アルミナ)というレメディ。
Alum.(アルミナ)は痴呆やアルツハイマー病にも効果があるとされているのですが、
そういった病気ではなく、ごく普通に生活している方で、
「人の顔の見分けがつかない」もしくは「夢の中にのっぺらぼうが出てくる」
といった症状を訴えたクライアントにこのレメディが非常に効いたことがありました。
この話に登場する女性は4人も人を殺しているし、
「ナイフ」や「血」、そして「死」に感受性があるAlum.(アルミナ)がよくマッチしそうな気がするんだけどなぁ。
さて、次は。
今夜は遅いので、また明日(@^^)/~~~