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アトピー性皮膚炎はホメオパシーで対処できるのでしょうか?

実を言うとホメオパシーは皮膚疾患が苦手です。
医者である私の意見として、慢性の皮膚疾患に関してはホメオパシーよりも漢方や中医学のほうが望ましいと考えています(ついでに言えば、現代医学の治療はかなり問題が多いと考えています)。

もちろん、急性の皮膚病、たとえば蕁麻疹とかちょっとした皮膚炎であればホメオパシーは非常に有効です。それは風邪やケガと同様に一過性のものだからです。

しかし、慢性の皮膚病はそう簡単にはいきません。
なぜなら、慢性皮膚病というのはその人の根深い体質的部分から生じており、その体質から生じた病の最終的表現が皮膚に表れているものだからです。つまり、そのような皮膚疾患を治癒させようとするなら、その人の最も根本的なところへ働きかけるレメディを見つけ出して的確に投与していく必要があります。

ところがそれはかなり難しいことなのです。

私の妻は長年慢性の湿疹を患っていました。何人かの方にレメディを処方していただき、また、私も私なりにいろんなレメディを考えたのですが、どれも全く治癒をもたらすことはなく、それどころがレメディによってかなり激しく悪化してしまうということも起こりました。

ですが、今は全くそれが起こっていません。どうやってレメディが分かったかといえば、いろいろ試しに飲んでみたレメディがたまたまヒットしたからです。そしてそのレメディはほぼすべてのホメオパスが「貴方はそのレメディじゃないと思う」というようなレメディでした。
それだけ、その人の根本的な体質に働きかけるレメディを見つけ出すことは難しいのです。

おまけにアグラベーションという問題があります。レメディが上手に働くと時に症状が一時的に強まって患者さんは不安になってしまいますし、ホメオパスとしてもそれが良い方向に向かっているのか単なる悪化なのか見極めが容易ではありません。

では、しばしばネットなどでホメオパシーにより長年患ったアトピー性皮膚炎が治ったというような記事を見かけると思いますがこれはなぜでしょう?

もちろん、きちんとホメオパシーのレメディが適切に働いた結果改善をみたというケースもあると思いますが、多くの場合は長年使用したステロイドを中止した結果であると私は考えます。つまり、ホメオパシーが効果を発揮したわけではなく、単にステロイドをやめた結果であるということです。

なぜなら、長年ステロイドを使用している方は、往々にしてアトピー性皮膚炎というよりは、ステロイド皮膚炎の状態になってしまっているからです。
そのような場合の最適な治療はステロイドを中止することです。

面白いことに、ホメオパシーではしばしばステロイドをやめるように指導されます。それはレメディによって生じた反応がステロイドによって抑圧されてしまい、その結果、治癒へ向かうことを阻害してしまうからです。そうして、ステロイドを指示に従って中止した方は、ホメオパシーの治療とは全く無関係に一過性のリバウンドを経て(おそらくこれをアグラベーションと治療に関わったホメオパスは解釈したことでしょう)皮膚が落ち着いていったのだと思われます。

蛇足ですが、長年ステロイドを使用していた方が突然ステロイドをやめると激烈なリバウンドが生じます。
これは非常に危険な状態であり、入院して医師の厳格な管理のもとでおこなわれるべきものです。
ところが、.ホメオパシーをやっている方々の中には、「これはレメディによるアグラベーションだから頑張れ」の一言で片づけてしまう方がいます。これは下手をすれば訴訟になりかねないことであり、安易に考えてはならないのです。

以上のように、皮膚に関しては一朝一夕にはいかないものであることをご了解のうえ、治療に臨まれることを心に留め置いていただければと思います。

 

アトピーについては妻もブログで述べております。興味のある方はご覧ください。

http://3sf.jugem.jp/?eid=39

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